日本伝統の藍染―その産地【2】~大河ドラマの主人公・渋沢栄一の故郷も

伝統の知恵・伝統工芸

日本の藍染といってもひとつではなく、いろいろな地方にさまざまな藍染があります。その中でも、徳島の藍染は有名です。2021年のNHK大河ドラマでは、主人公の渋沢栄一の実家が埼玉の藍玉づくりの家業だったことで話題になっています。




 

藍染のいろいろ

・阿波藍(徳島県)

平安時代初期から始まったといわれています。日本三大暴れ川でもある吉野川。その恵みである肥沃な土地に、上質な藍がよく育ったそうです。ここで作られた藍染には絶対必要な「すくも」が江戸や大阪に運ばれました。徳島県のすくもは、最高級品と言われます。

徳島県は、藍の生産量1位です。

徳島・吉野川

 

・伊達の藍(北海道)

明治7年に、徳島県から伊達市に入植した人たちが、藍を栽培して始まったといいます。水を好む藍ですから、やはり長流川や紋瞥川、牛舎川など川のそばに作付され、北海道一の藍の産地となりました。

北海道は、藍の生産量3位です。

 

・益子木綿(栃木県)

益子町にある、江戸時代に創業された日下田紺屋(ひげたこうや)が有名です。72基もの藍甕(あいがめ)が備えられた藍染め場は、1996年県の有形文化財にも指定されています。益子木綿自体も、無形文化財に指定されています。益子町は、陶芸の益子焼でも有名です。

 

・武州の藍染め(埼玉県・渋沢栄一の故郷)

関東では、埼玉県羽生市近郊が糸染めの産地として、江戸時代に発展しました。

「武州一の藍は色合いも肌触りも他と違う」と言われ、剣道着や袴が作られます。

2021年のNHK大河ドラマの主人公は渋沢栄一ですが、彼の故郷が埼玉・深谷市。藍玉づくりを生業としていました。その藍玉を父親と一緒に信州や上州まで売り歩いたり、原料の藍葉を仕入れたりするうちに、商才が花開いたと言います。

↓↓↓渋沢栄一が考案した藍農家の番付表の現物が残っているそうです‼(Twitterで見つけたので拝借させていただきませう)

現在でも4代にわたって武州正藍染を守り続けている、野川染織工業さんが有名です。

↓↓↓こちらは、野川染織工業さんの藍染シーツ。丈夫そうです!藍藍染糸と白糸の混紡なのでやさしい風合い。

 

◆こちらも読んでみて!➡いまなぜ渋沢栄一なのか??「日本の資本主義の父」は彼には似合わない!?

 

・近江木綿(滋賀県)

湖南市にある、明治時代に創業された紺喜染織があります。技術は京都から伝わって、最盛期は大正時代だったようです。

 

・出雲織(島根県)

オリジナルデザインに定評のある出雲織です。倉吉絣、広瀬絣、弓浜絣の影響を受けたといわれています。

 

・久留米絣(福岡県)

200年程前から作られたといわれています。白糸をくくって染め、それを織る技法は、12歳の少女が思いついたといいます。深い藍色が特徴です。天然藍の藍染、手織りの久留米絣は国の重要無形文化財、国の伝統工芸品にも指定されています。

 

・琉球藍(沖縄県)

琉球王朝の時代から、沖縄北部の本部町伊豆味集落に伝わっている藍です。琉球織物の紅型(びんがた)にも使用されています。

沖縄県は、藍の生産量2位です。

琉球藍(学術的記載)・・・キツネノマゴ科イセハナビ属の植物。卵形の葉をつけ、唇形の花を密生した穂状花序をなす。藍草は一年に二度刈り取られ、夏藍は約95センチメートル、冬藍は約75センチメートルに成長する。挿木により植え付け、二年~三年に一度は株の更新をはかる。生育には適度の雨量と施肥、とくに牛糞を必要とする。刈り取った枝葉は、水に浸漬して色素分を抽出し、石灰を加えて激しく撹拌した後に泥藍を生成し、染料として利用する。中国原産で、琉球列島~インドシナ半島に分布。沖縄で栽培されてきた藍。 琉球では日本のスクモ(固形)とは違う泥藍という泥状の染料に加工して染色に用いていた。泥藍はインドアイと同じ沈殿法で作るが、琉球では乾燥の工程を行わなかったという。一部専門書や歴史書で山藍を琉球藍としている例があるが、これは明治初期に鹿児島県製藍局が琉球藍を山藍と命名したことを発端とする誤り琉球藍とは異なる。

出典:http://aikaze.jp/ryukyuai/

 

↓↓↓阿波しじら織のスリッパ。藍染の青にカラーグラデーションが加わって素敵!

 

↓↓↓こちらは琉球藍で染めたポロシャツ。1枚ずつ染めるので、受注生産です。柄も好きなものを選べます。藍は抗菌作用もあり、においも出にくいのでゴルフなどのスポーツにピッタリです。

 

↓↓↓藍染で染め上げ、その上から「柿渋」を染め重ねるという手法、藍渋染めで作られています。珍しいかも!!

 

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