えっ!マツダ・ロータリーエンジンが水素エンジンに?! EVより地球温暖化対策にいい!?

マツダ

水素活用で、マツダのロータリーエンジンへの期待も再燃!ロータリーエンジンと水素の相性は良いのだ!最近、欧州では50兆円を投じて「水素エンジン」の普及を促進する動きが本格化してきている。



2020年、BEV(純電動車)発売ラッシュが始まった!

2021年に向けて、「ピュアEV(BEV)」発売が相次ぐ。クルマの仕上がりをみても、価格を除けばそうとう実用域に達してきた。でも最近、欧州では50兆円を投じて「水素エンジン」の普及を促進する動きが本格化してきている。それは、欧州の産業政策や排ガス規制によるものなのだが、中国やアメリカ市場の思惑も絡んで、自動車産業界の先行きは確定できない。日本は欧州の動きに同調すべきなのかもしれない。(keisuke3さんによる写真ACからの写真)

EV(電気自動車)と一口に言っても、今ではPHEVとかBEVとかFCVとかZEVなどといった言葉も、続々出てきた。

BEV(battery electric vehicle):バッテリーで動く電気自動車でピュアEVといったりもする。

PHEV(Plug-in Hybrid electric Vehicle):外部からの充電が可能なハイブリッド(エンジン+モーター)カー。

FCV(Fuel Cell Vehicle):燃料電池車のことで、水素と酸素の化学反応から電力を作ってモーターで走るクルマ。

ZEV(Zero Emission Vehicle):排出ガスを一切出さない電気自動車や燃料電池車を指しており、環境用語に近い。

↓↓↓2021年なかばに発売予定の「日産・アリア」

出典:https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/ariya.html

 

ピュアEVは、「日産・アリア」「フォルクスワーゲン・ID.4」「ポルシェ・タイカン」「メルセデスベンツ・EQC」「BMW・iX3」「ホンダ・Honda e」「トヨタ・eパレット」などがある。

各社は先行しているテスラを追いかけて、中国市場向けだけでなく、欧州・北米、日本でもBEV発売ラッシュが2020年から始まっている。PHEV、HVなどを含めると電動車の方向性は、既定の事実のように感じる。

「日産・アリア」は、2021年半ばに発売予定!

日産・アリアは、全長4595×全幅1850×全高1655mmと発表されている。

◆日産・アリアの車重

通常のガソリン車の車重は、1,600kg~1,700kg前後と言ったところ。だけど、日産・アクアは1,900kg~2,200kgと重くなっている。比べると300kg~500kgほど重くなっているのは、やはりバッテリーのせいであるのは確実。

これが、電気自動車EVの現在のところの宿命、デメリットで、ガソリンよりもバッテリー(例えばリチウムイオン電池)の方がエネルギー密度が劣ることが原因だ。

※エネルギー密度とは? 例えば、同じ2.5キロを走行するのに… ガソリンだと→たったの0.16kg(200cc)、リチウムイオン電池だと→5kgも必要!

 

◆日産・アリアの航続距離・充電時間・最高速度

でも、日産・アリアの航続距離は、WLTCモード走行による航続可能距離で最大450~610kmと発表されている。充電時間は普通充電では12時間~17時間、急速充電30分で375km可能であると言う。

実用ぎりぎりと言ったところだろうか。

その代わりと言っては正確ではないが、0-100km/h加速は最大5.1秒で、エンジン車のスポーツカーのレベルである。

最高速度は200km/hと頭打ちとなるが、街中の信号グランプリでは敵なしだ。航続距離を長く必要としなければ、ドイツのアウトバーンも走れるだろう?

また、日産・アリアはCセグメントのボディーながら豪華に仕上げられているようで、立派な実用車だ。

実用一歩前まで来た小型普通乗用車SUVのBEVだが、欧州では風向きが変わってきている。

 

実は、EVシフトで地球温暖化は止まらない!!!

欧州が、水素エンジン(グリーン水素)を模索し始めた!


上記日経XTECHの記事によると、ここにきて欧州は2030年までに50兆円規模の投資を行い、「水素エンジン」普及に乗り出すようだ。カーボンニュートラル(炭素中立)を目指し、水を電気分解して生成した水素(グリーン水素)と、大気中のCO2を反応させる「e-gas(CH4:メタン燃料)」使用を普及させようとしている。

出典:Audi

 

実はいま、世界の自動車産業では、BEV(純電動車)では発電によってCO2排出をしており、結局のところ地球温暖化は止められないとなってきた。

参考EVは本当に環境に優しいか?VWが発表したCO2排出量の衝撃レポート(CAR and DRIVER)

また、LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)とかWell to Wheel(ウェル・トゥ・ホイール)の考え方に立てば、自動車単独でCO2排出量を削減するほうが効果的であるかもしれないのだ。

日本のマツダは以前からWell to Wheel(ウェル・トゥ・ホイール)の考え方を掲げて、これまでのエンジンの熱効率を高めCO2排出量を削減する努力が進められてきた。これはZEV(車、単体でのCO2排出量をゼロにする)の考え方に対して、発電やバッテリー製造、車両製造など、クルマ社会全体でのCO2排出量を削減することを考えると、エンジンの効率を高めたほうが効率的である可能性があると主張しているのだ。

 

中国がEV推奨の産業政策なのは、エンジン開発できないから

現在、最も多くBEVを生産販売しているのは中国市場。。

それは、欧州、日本、アメリカなどと比較して自動車産業が立ち遅れており、さらに、世界最高水準の高精度のエンジン技術に追いつくのは容易でないから、BEVで一気に先行し、一大産業として育てたいとの産業政策としての狙いがある。

自動車産業というのはすそ野が広く、知識集約産業と言われる。

かなり広い分野で高度な技術を集大成しなければならず、知識集約型産業があるかないかで国の文化レベルを問われる。

まして、排気ガス規制を達成しなければならないエンジン技術には、制御プログラムのソフト面だけでなく、ハード面では機械加工精度を要求される。また、そのハードとソフトの技術連動などでは、1/10,000秒を争う高度なエンジン制御技術が要求され、それは至難の業なのだ!

さらに、その高度な製品の品質保証を出来なければ商品価値はない

現状、この技術レベルを持つのは、欧州、アメリカ、日本に限られている。

それが、日本が持つ国際競争力でもある

↓↓↓2019年、米「10ベスト・エンジン」に選ばれたマツダ・直列4気筒2.5L直噴ガソリンターボエンジン。

 

実は、EVシフトで「雇用が危ない!」と気づいた欧州

これから2021年にかけてBEVの発売ラッシュだが、そんな時、実は欧州は「雇用が危ない」と気が付いた!

ディーゼルエンジンで不正が表面化してつまずいた欧州勢だが、さらにトヨタのHVの威力を恐れてBEV政策を打ち出してみた。

でもでも、EVにどうしても必要なバッテリー生産は、中国や韓国、日本のメーカーに独占されている。気が付いて見れば、自動車産業に就業している人の半数以上が、EV製造によって職を追われることが見えてきたのだ。雇用を守れないと、国の存続が危ぶまれる。

これは、欧州経済規模としても見逃せない!!!

しかも、ドイツが先行していた自然エネルギー(再生可能エネルギー)での発電ではコストがかさむことも分かり、また安定した発電が難しいことで、発電量が少なくても多すぎても停電の危険があることも見えてきた。また原子力発電では日本の例など、自然災害の危険もあり、躊躇せざるを得ない状況だ。

参考【エネルギー政策】ドイツの大失敗(デイリーwill)

 

FCVじゃなく、グリーン水素エンジンの可能性

グリーン水素エンジンの仕組みとは?

もともと水素の活用については、世界にトヨタが特許を開放したFCV(燃料電池車)の技術がある。FCVは、ZEV(排ガスをいっさい出さない車)に適合しているとも考えられる。でも、それに使用される水素の純度は99.99%を求められるので、生成にはそれなりのコストがかかる。FCVのデメリットだ。

それに対して、「グリーン水素」とは石油由来の水素ではなく、水を電気分解した水素のことである。自然に優しい。

水を電気分解して生成した水素(グリーン水素)と、大気中にあるCO2を反応させるから、さらに、自然に優しい。

これにより生成された「e-gas(CH4:メタン燃料)」を使うことで、カーボンニュートラル(炭素中立)化を実現しようとするものなのだ。

上記日経XTECHの記事によると、

欧州が2030年までに、水素(H2)エネルギーの普及に50兆円規模の巨費を投じる。アジア企業を利する電気自動車(EV)頼みの環境対策を転換する。

としている。

だとすると、もしかするとBEV発売ラッシュから大きな方向転換が起こるかもしれない!

これを可能にするのが、「e-gas(CH4:メタン燃料)」の利用なのだ。

これには十分な可能性が秘められており、BEVによるCO2削減より現実的で、実現できるスピードが速い可能性がある。それに、欧州と日本が協力して進めると、両者(両車?)にメリットが大きいと思われる。

 

EVシフトは失業者を出す! 切実な問題!

ガソリンエンジン車とBEVを比べると、BEVではエンジン、ミッション、排気系など半数の部品が必要なくなると見られている。

つまり、その分だけ雇用が奪われる!!!ということ。

かつては1/5になるとも言われ、自動車産業以外の他産業から参入可能であると言われ続けている。

でも時が経ち、BEVの本当の姿が見えてくると、衝突安全ボディー、足回りの重要保安部品(命に係わる部品)など、現在の自動車メーカーでなければ持ち合わせていない技術もあることが認知されてきて、1/5ではなく、今ではおおよそ部品は半減すると考えられるようになった。

少しは見通しが良くなったのかもしれないが、でも↓↓↓

EVによって、EU・米・日の失業者は増える!!!

国際経済環境研究所の「欧州主要国、新型コロナ後はEVに力」によると、

製造現場での雇用は350万人、間接雇用を含めるとEUの全雇用の6.1%を占めている。経済面ではGDPの7%を占める欧州産業の屋台骨

と見られている。これがEVになると、単純計算でこの半分の雇用がEUで失われることになる。

 

また、36Kr Japanの自動車産業で昨年10万人以上のリストラ、EV化を迎え業界再編が加速によると、

米投資銀行モルガン・スタンレーのアナリストは、電気自動車(EV)へのシフトにより必要な労働力が大きく変化するため、今後3~5年で300万人が失業すると予測する。

上記はアメリカのことで、正確な予測は出来ないものと思われる。それでも多くの雇用が奪われることは間違いない。

それに日本でも同様に、GDPを数パーセント下げることは確実で、自動車産業のすそ野の広さを考慮すれば、失業者は数百万人出ると考えられる。

 

水素エンジンなら、維持できるものがたくさん!!!

ライフライン(ガソリンスタンド)も維持

水素エンジンなら、既存のライフライン、ガソリンスタンドなどが維持できるかもしれない。

FCV(燃料電池車)に使用される純粋水素であると、水素ステーション建設には1か所につき約5億円がかかると言われており、これに土地代が必要な場合も出てくるだろう。

BEVでは、充電スタンドは投資額が小さいこともあり、コンビニの駐車場で設置できるメリットはある。しかし、ガソリンスタンドなどに関わる雇用はやっぱり奪われる。

でも、水素エンジン、つまり「e-gas(CH4:メタン燃料)」であると、これまでのガソリンスタンドの小規模の改装で済むようだ。これまでのインフラを維持して、これに関わる雇用も守れるだろう。

 

マツダ・ロータリーエンジンも維持できる!

↓↓↓水素活用で、マツダのロータリーエンジンへの期待も再燃。ロータリーエンジンと水素の相性は良い!

マツダのRX8に水素ロータリーを積んだ試作車も作られている。

関連ロータリーエンジンの仕組みとは?

水素エンジンなら、これまで培った日本の多くの機械製品製造技術がそのまま維持される可能性がある。つまり、それに関わる雇用も守られるということ。

また、それによって国際競争力も維持できるのなら、水素エンジンに向かうべきなのだと思う。「e-gas(CH4:メタン燃料)」社会を目指すべきだろう

石油依存社会から解放される

水素エンジンなら、石油依存社会から解放されるかもしれない。

現在、日本は95%以上の石油をアラブ諸国に頼っていると思われる。天然ガスならロシア依存となり、どちらにしても難しいエネルギー政策を要求されている。

また最近、南シナ海の領有権を中国が主張し始めている。これが紛争状態にでもなれば、日本の「シーレーン(石油輸送路)」が脅かされ、迂回することで石油の輸送費が増大するだろう。

でも、水素エンジン、「e-gas(CH4:メタン燃料)」であれば、日本国内でエネルギーが調達出来る見込みが出てきて、エネルギー政策が根本から変わってくる。

国際関係が根こそぎ変わる可能性があるということだ。経済も石油元売り価格で左右される要素がなくなり、変化が大きいと考えられる。これが、水素エンジンによって20~30年で変わるとなると、国の在り方も変化してしまうだろう。

日本は近年、エネルギー政策で息詰まることが多かった。太平洋戦争も石油確保が大きな要素であった。こうした根本的問題が解決する。

 

水素エンジンが本命!?

BEVは、エンジン車に乗りなれていると、運転感覚が違ってくるほど衝撃がある。でも、日常の街中の運転ではモーター駆動が使いやすいのは事実だ。

しかし、エンジン技術でもHVでむしろ高速性能では上回ることが出来るので、欧州、アメリカなどでは、やはり総合的に見ると水素エンジン車がZEVの本命と見てよいのであろう。石油産業から猛烈な反対が起きる可能性が考えられるが、水素産業に転じることで、日本全体としては「すべてが◎く収まる」ようだ。