【北朝鮮ICBMはアメリカのレッドラインか?(4)】ICBMはもう古い!

トランプ・アメリカ大統領

アメリカ・トランプ政権は北朝鮮に対する軍事行動について最終判断基準(レッドライン)を決めていないように見えます。「第6回目の核実験とICBM発射実験に成功したら攻撃する」が当初基準としていたように聞こえます。北朝鮮はこの限度を超えないように、25日も長距離砲訓練にとどめて、この基準を守っているように見えます。さてICBMとはそれほど重要かつ有効な核武装なのでしょうか?(画像出典:Wikipedia

←【北朝鮮ICBMはアメリカのレッドラインか?(3)】ICBMはもう古い!


③「ICBM開発前の今、軍事的手段で北朝鮮の核開発を止めておくべきであった」となる可能性

北朝鮮が、ICBM実験に成功して6回目の核実験にも成功(2017年)して、小型核弾頭を固形燃料ICBMに搭載して実戦配備出来たところで、アメリカの第一撃で破壊されてしまいます。アメリカ本土に向けて先制攻撃しても、迎撃システムで撃墜されてしまいます。

現在の開発中の装備が整っても、アメリカに対する実際の核抑止力にはならないのです。

日本への攻撃についても何らかの被害をもたらすでしょうが、アメリカの反撃を受けて北朝鮮も壊滅することに変わりはなく、ICBMでは、核抑止力としては不十分なのです。


それでも大きな犠牲を出すことが出来るので、アメリカの攻撃を躊躇させることはできます。

どこまで行ってもこのレベルであり、アメリカは、また中途半端な妥協で済ませることが出来るのです。

 

本命はICBMじゃなく、潜水艦搭載SLBM

中国同様、北朝鮮も実際の目標はSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)にあるのでしょう。

しかし、これには「音の出ない大型潜水艦」が必要です。この「音の出ない・・」が問題で、中国でもつい最近獲得できた状態です。

【※↓↓↓ついに2019年10月3日、北朝鮮はSLBM(北極星3)を日本海に向けて発射しました。私の見込んだ通りのことが起こってきています。というか、国の防衛戦略では当然に考えられるストーリーなのです。しかし、実際の潜水艦から発射したわけではなく、まだ実験段階のようです、現時点では…】


今となっては知らない人も多いのかもしれませんが、この技術には、残念なことに日本の工作機械が大きく貢献しており、旧ソビエト、現在のロシアの潜水艦の能力が上がったのは、日本の技術や工作機械を手に入れたからだと見られていました。(当時、COCOM(ココム)規制があったにもかかわらず)

その後、中国が世界の工場となって多くの企業が中国生産を開始したころ、これらの技術の流失が心配されたのですが、やはり新幹線の技術などについても、中国は日本から得た物であっても独自の技術として輸出までしています。

つい最近、アメリカの空母打撃群の駆逐艦・巡洋艦・フリゲート艦などで囲まれた、潜水艦警戒空母中心の円陣の中に浮上して見せ、大きなショックをアメリカ軍に与えました。つまり、至近距離にいた中国原子力潜水艦の存在をアメリカ軍が気づかなかったことが驚きで、中国の軍事技術のレベルが上がってきたことを示しています。中国もこのレベルになるまで、太平洋に出る前に日本の自衛隊などに探知されて追跡を受ける危険があったのです。

もし、北朝鮮がこのレベルに達するのは、総合的技術レベルの向上が必要で、無誘導の弾道弾を開発するよりも難しいのです。

というわけで、北朝鮮ICBMはレッドラインでもなんでもなく、

ICBMは核武装の象徴でしかないと考えてよいのでしょう。

追記(2019.10.8)
…しかし、2019年10月、北朝鮮がSLBMの発射実験を行い成功したと言われています。これが、潜水艦に搭載できるようになれば、レッドラインになる可能性はあるのです。その北朝鮮と韓国は統一を考えており、それが実現すれば核武装した国が「お隣」になるのです。中国は、デモが激化した香港に対して強硬姿勢に出るでしょう。

トランプ大統領は何を考えているのでしょう?日本は今後どう立ち回ればよいのでしょう?

【この記事の冒頭に戻る

 

【北朝鮮金正恩とアメリカトランプ大統領は戦うことになる?(1)】

【北朝鮮と今戦うべきか?】注目!原潜ミシガンの「Navy SEALs」の発信装置
【アメリカは北朝鮮を攻撃できない?】
➡【トランプ大統領にとっての武力攻撃(1)】空母打撃群