【GTPAトーナメントナウ】 「PGA倉本会長インタビュー」
http://www.golf-gtpa.or.jp/archives/4823
私たちとしては「PGAのティーチングプロは最高の技術を持っている」と自負しているのですが、それを知っている人が10%もいなかった。PGAのティーチングプロはすごいんだと自分たちが勝手に思っているだけで、一般のお客様側はそうではなかった。PGAのプロじゃなくても、習って上手くなれればいいと思っている人が多かったのです。
これはPGA倉本会長の言葉ですが、ゴルフ関係者のゴルフ市場に対する認識の間違いを代表している言葉でしょう。つまり一般のゴルファーは「競技思考ではない」ので「上手くなりたい」とは思っているが、「習いたくない」と思っているのです。
その理由は、楽しければよいので「いやな思いまでして競技に必要なほど習いたくない」のです。
PGA「ゴルファーライフスタイル調査」
P15 【スクール未経験者の「ホンネ」】
スクール未経験ゴルファー:551万人
そのうち「できることならやり直したい」ゴルファー:226万人
→ これらゴルファーに対する満足度向上のための施策が考えられないか?
この中で226万人がレッスンを受ける可能性があると見込んでいるようですが、受け止め方で551万人のうち10%程度であると見るべきでしょう。つまりゴルファーの大半は「ほっといてくれ」と言っているのです。
ゴルフは教わらなければゴルフ場に出ることすら困難です。最初は「付添人」が必要です。
ゴルフを始めて半世紀になる私でも、初めてのゴルフ場に行くとロッカールームすら良く分りません。受付で案内もしてくれないのです。また案内表示も不十分です。下手をすると受付の時、受付カウンターの前で挨拶しても口をきいてもらえなかった経験があります。しかも自分の所属するクラブでもあるのです。
ましてレッスンを受けると、大方のプロは「上から目線」がひどく、不愉快になることが多くあります。
ある上場企業の社長はゴルフを始めてレッスンを受けたのですが、やめてしまいました。「若造にあれこれ言われながらやってられるか!」とお怒りでした。
ゴルフ業界には、こうした「上から目線」の癖が横行しているのです。ゴルフ場の社員でさえ、当たり前の礼儀をわきまえないのですから、とてもレッスンを受ける気にもなりません。それはゴルフ界には「パトロンを探す」と言った姿勢があり、おこずかいをくれたり、別に費用を出してコンペなどに招いてくれる「パトロン」には、特別のサービスをする習慣があります。メンバーになっているゴルフ場でも、おこずかいを出したり、営業の手助けをしたり、「顔を利かせ」ないと「下々の扱い」を受けます。
最近ではずいぶんと良くなったのですが、バブル崩壊以前ではキャディーマスターに顔を売っておかないと、1人でぶらりと自分のクラブに行くと「来ちゃったのか?自分で組み合わせしてくれ」と言われました。
この「殿様商売」の体質が、いまだに抜けないことを、ゴルフ業界の関係者が気付いていないのです。
レッスンプロの技術とは?
PGAのレッスンプロが「特別優秀な技術を持っている」と自負しているのでしょうが、一般ゴルファーにとって、それが自分にとって有効かどうかは自分で判断するのです。
ゴルフのレッスンプロの「優秀な技術」とは、そもそもどんなことですか?
競技に出られる腕前になることを大多数のゴルファーは望んでいません。
レッスンプロと幾度かラウンドしたことがあります。わたしがミスをするとアドバイスをしてくれるプロもいました。「そんなに振り回してはダメです。ソ~~ト打つのです」とのアドバイスは、全くもっともなことです。
私はラウンドするとき「飛ばすこと」しか考えていません。いつもフルショットを心がけてきました。また難しい場面でも、練習でも使ったことのない、考えうる最高のテクニックを使います。
それではミスも出るのでスコアはまとまりません。でも気にしません。そのためにゴルフ場に来ているのですから。スコアをまとめるゴルフなど興味はないのです。難しければ難しいほどやってみたいのです。
それでプレーが遅くならないように、適宜ギブアップします。
最近、ゴルフ場では「ツーサム」が流行っています。アベックが多いようです。女性が旦那や彼氏と気楽にプレーしたいのです。「自分が下手なのを見られたくない」と思っている人も多くいます。
ある日、一人でセルフでラウンドしていたときのことです。4人でプレーしているの前の組に追いつくので、待ち時間にチョコレートを4人に差し上げました。中に一人女性が入っていたのですが、あまり歓迎されなかったようでした。順番が来てその女性が打つと、チョロってしまいました。すると急にその女性がギブアップしてカートに乗ったまま走っていきました。しばらくするとマーシャルを呼んで、プレーを止めて帰って行ってしまったのです。去り際にメンバーの一人があいさつに来たので「どうしましたか?」と尋ねると「彼女が急にやめたいと言い始めたので・・」とのことでした。
彼女のしぐさから、後ろで見ている私の視線を、異様に気に掛けたようで、「ミスを見られたくないのだな」と直感しました。話もしていないので「チョコレートを上げたのがいけなかった」と反省した次第です。
この事例は極端な人ですが、この現代気質がPGA、一般ゴルファーの双方にあるのです。
「ほっといてくれ・!」と言っているのです。
レッスンプロのレッスン技術はプレー技術・レッスン技術ではなく「営業技術」が必要なのです。
【PGA「ゴルファーライフスタイル調査」について】縄張りを解除せよ[1]➡
【ゴルフ事業の戦略(1)】ゴルフ市場を無視してきたゴルフ業界➡