ポルシェブランドが変化している!RRを駆る「ポルシェ使い」はどこへ行った? 売上げの70%がSUV

ポルシェ

ポルシェと言えば、名車「911」のイメージなのだが、現在ポルシェの売上げの70%がSUVになっているとのことだ。また、セダンの「パナメーラ」は200%の増加を果たし、そのうち60%がPHEV仕様であったらしい。ポルシェ「356」以来、RR(リアエンジンリアドライブ)の伝統を守り続けてきた911シリーズはどこに行ったのか? SUVのカイエン、マカン、セダンのパナメーラは、いずれもフロントエンジンだ。



ポルシェ356Speedster(1948年、フェリー・ポルシェのコンセプトを実現した処女作356。)
引用:http://www.porsche.co.jp/pip/concept/past/

 

ポルシェのSUV、マカン、カイエンは、さすがに最低地上高、渡河可能な深さなどは本格的4輪駆動車ランドローバーとまではいかないが、ラフロードカーとして通じるものになっている。クロスオーバーよりラフロードカーに近いものだ。むしろ、ポルシェにこのような能力が必要になったことに驚きがある。

ポルシェ・カイエン
引用:https://www.porsche.com/japan/jp/models/cayenne/cayenne-models/cayenne/

 

多くのポルシェSUVオーナーは、911ユーザーとは異なるユーザーなのであろう。つまり70%以上のポルシェオーナーは、「ポルシェ使い」ではないということなのであろう。

今では、「ポルシェ使い(ポルシェ乗り)」という言葉自体知らないユーザーが多いかもしれない。「ポルシェ使い」とは、バランスがフロント3:リア7でよりリア荷重のかかっているクルマを、正確にアグレッシブに扱える技量のあるドライバーのことだ。畏敬の念が込められている。

ポルシェ911カレラ(RR:リアエンジンリアドライブ)
引用: https://www.porsche.com/japan/jp/models/911/911-carrera-models/

 

ポルシェとはどんなブランドであったのか

1975年登場したポルシェ・924、1978年登場のポルシェ・928など、当時ポルシェは911からの脱出を図っていた。時代は、空冷RR(リアエンジンリアドライブ)を歓迎しなくなっていた。ライバルは、水冷V8FR(フロントエンジンリアドライブ)など近代化が進んできており、ポルシェも近代化を図っていた。

ポルシェ924(FR:フロントエンジンリアドライブ、ポップアップヘッドライトも特徴的)
引用:https://www.porsche.com/japan/jp/accessoriesandservice/classic/models/924/924/

 

歴史をさかのぼれば、ポルシェはナチスドイツと深い関係があり、戦犯とされても仕方のないほどヒトラーに協力していた。当時のドイツ国民車構想は、ヒトラーが支配力を増すために国民のご機嫌を取った目玉政策の一つで、速度無制限のアウトバーン建設と時を同じくしていた。戦後、フェルディナント・ポルシェ(Ferdinand Porsche)の息子、フェルディナント・アントン・エルンスト・ポルシェ(Ferdinand Anton Ernst Porsche)通称フェリー・ポルシェが作ったのがポルシェ・356だった。

ポルシェ356
引用:https://www.porsche.com/japan/jp/accessoriesandservice/classic/models/356/356-c/

 

フォルクスワーゲン(VW)・ワーゲンと似たエクステリアで、空冷RRも同じレイアウトだった。それが後の名車ポルシェ・911を生み出した。そして、そのRR(リアエンジンリアドライブ)の特性をよく理解して、速く走らせることが出来るドライバーを「ポルシェ使い」と呼ぶようになったのだ。そこで、乗りこなしにくいRRポルシェを乗りこなせるドライバーは尊敬されていたのだ。

※↓↓↓ポルシェではドライビングスクールを開催しているので、普段乗りでは体験できないポルシェの持っているパフォーマンスを存分に体験できます。RRの特徴もよくわかるでしょう。

 

現在でも、RRである911シリーズの特徴はリアが滑るので、リアタイヤは巨大(フロント:235 / 40 ZR 19、リア:295 / 35 ZR 19)で、コーナーを曲がるときはオーバーステアで大きくお尻を振る姿が見受けられる。

50年ほど前、空冷RRではさすがに市場で受け入れられなくなり、水冷FRを造り始めていた時期だった。しかし、その後やはり911の人気が続き、FRポルシェをポルシェとは認めない人々も多くいた。

しかし最近では、911のRRレイアウトは”特殊な車”と受け止められる傾向にあり、4輪駆動やFR水冷エンジンが当然となってきた。さらに、SUVブームの中でRRレイアウトなどを求める空気もなく、当然のようにスポーツ性能だけがSUVにも求められているのが、ポルシェブランドに寄せられる期待であるうようだ。

 

私のポルシェの思い出

ポルシェ924・後方トランスアクスルFR

私も40年ほど前、ポルシェ・924のオーナーとなり、ミッションをデフと一体化して後方配置したトランスアクスル構造を初めて知ることになった。

当時は金もなく、RRの911を買えなかったことが悔やまれるが、911を乗る資格は自分にはまだないと思っていた。それは「ポルシェオーナーは整備を自分でやるもの」と言われていたからだ。私には当時は、まだ勉強中で整備の腕はないと考えていた。

ポルシェ924マルティーニストライプWikipedia

 

924は、MR(ミッドシップ・リアドライブ)のポルシェ・914の後継とされているが、実際はポルシェとしては初のFRレイアウトである。それまでフェアレディーZを乗っていたので、その比較の感覚しか残っていない。914はスタイリングからもワーゲンのコンポーネンツを利用したライトウエイト・スポーツカーのイメージだったが、924は、その後928に続く水冷FRのポルシェ革命と理解していた。

 

ポルシェに劣らない日産のミッション(かつては…)

ポルシェ924のエンジンは、もともとはVWのものだが、別物にチューンされており、吹き上がりは当時のフェアレディーZと比較できないほどスムーズだった。

5速MTはポルシェ・サーボー・シンクロで強力だった。Zのミッションもポルシェ方式であったので、これは遜色なかったと感じている。当時の日産の技術力は、やはりトヨタとは明らかに違って優れたものだった。特にミッションは優れていた。

しかし、L型エンジンは少々ポルシェと比較するのは無理と感じていた。当時、日本車では、ポルシェと比較できるのはホンダエンジンだけであったろう。

日産フェアレディ240ZGWikipedia

 

ポルシェに当時は左ハンドルしかなく、右手でシフトするのに慣れなかったが、慣れてくると夜中を選んで、全速で走るのが楽しかった。仕事で疲れ切ってはいたが、若いころの思い出だ。

 

クルマとは?

技術的に優れたクルマは、スポーツカーに限らず、思い出深いものがある。

セダンでは、やはりベンツSクラスがBMW5シリーズ、3シリーズ、850よりも印象に残った。朝クルマに乗る時は「よろしくお願いいたします」と一礼し、夜、車庫に入れると「今日も、どうもありがとうございました」と、自分が言っているような印象があった。それは、ベンツから「これが車だ」と言わんばかりの信念が、日々乗るたびに感じられるからだった。マーケットリサーチに忠実な車造りもよいが、技術者魂を感じさせる車も、また楽しいものだ。ポルシェSUVもまた、強い印象を与える車なのであろう。

 

免許返納を考える現在では、RRの「ポルシェ使い」になる夢はついえたが、これからもポルシェ・911の行く末を見守っていこう。

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