新型コロナウイルス感染拡大で、日本で議論になっているのはPCR検査の少なさだ。専門家委員会は当初そんなにやる必要はなく、やれば医療崩壊が起こると言っていたが、現在はまるで逆の状態だ。PCR検査をやらないがために無症状の感染者を病院など知らずに招き入れてしまい、院内感染が起きて医療崩壊が起こっている。どうして日本だけがPCR検査を増やせないのか?謎が多い。
千葉大学のAIでの研究結果
千葉大学が、AIを使って新型コロナウイルス感染拡大解析を進めているようだ。その注目すべき結果は、
❝検査陽性率と死亡者数との間には明確な相関が確認された。陽性者数が7%未満の国の死亡者数は、それ以外の国の15%程度の死亡者数であった。❞
つまり、PCR検査結果で陽性になった人が7%未満であると、それ以上の場合に比べると、死亡者が15%と激減すると言うのだ。
その理由は、【早期に感染者を発見、隔離し、重病者の迅速な入院】を果たすことだとしている。
検査しなければ感染拡大は止められない
確かに、感染者を出来るだけ早期に発見隔離すれば、感染は拡大しない。感染者を増やさないためには、陽性者を早期に発見することだ。そして、早期に治療にかかれば死亡者は減る。
無症状者や軽症者を入院ではなくホテルなどに隔離できれば、病院は重傷者に集中できる。医療崩壊を防くことができる訳だ。韓国、ドイツなどがその例であろう。
だから、PCR検査をたくさん行って、早期に感染者(陽性者)を見つけて隔離すれば、感染拡大は防げるし、重症にならずに死者も減るはずなのだ。
『PCR検査の数断然足りない。検査は大学研究室でもできる。専門家会議の中に治療の専門家が少ないのが残念。治療が先だと思う。治療の機会がもっとあり、死なない状況を作る。既存のアビガンやHIVの薬等全て使うべき。使わないのが不思議だ』
ノーベル賞の本庶佑教授が語る https://t.co/ewscpvpuw8— Yokoven (@bavenninov) April 27, 2020
これは考えれば分かること、自明の理である
千葉大学のAIを使ったこの研究は事実を証明していると言えるが、これは【考えれば分かる】ことだろう。
感染者数を増やさないためには、
PCR検査で陽性者を早く見つけて隔離する
つまり、厚労省が行っていたクラスター追跡では、感染拡大を防げないことは明確だ。クラスター追跡では、感染が起きてから症状が出た感染者の内、重傷者をPCR検査してクラスターが判明するわけで、物理的に必ず「後手に回る」。検査していないため、知らずに無症状の陽性者が市中に歩き回って、他社に感染させているのを野放しにするからだ。
↓↓↓『ヒトヒト感染』だから「動き回ったら感染は急激に増える」というシミュレーションは、すでに3月17日にワシントンポストから出ていた。外出制限をした時の感染数と比べれば、一目瞭然!
ロックダウンしないと終息は無理と話した人が教えてくれた奴。 コロナ感染の広がりを予測、外出制限の効果は?【ワシントン・ポスト特約】 : 医療・健康 : 読売新聞オンライン https://t.co/j0smkaMojJ
— B4iine (@b4iine) March 25, 2020
これは、すでに2月の時点で、日本が「クラスター追跡」が「防疫の戦略」であるとしたときから間違っていたことになる。これを政府の専門家委員会のメンバーが気付かないはずはない。つまり、SARS、MERSの専門家でクラスター班を構成したため、その知見に囚われていたのではと見える。
それは、SARS、MERSの知見(経験)では『症状がない時は感染させない』となっていたからだ。
しかし、新型コロナウイルスでは発病以前に感染させる力があると、すでに2月には中国から論文が出ていた。それを、日本の厚生労働省、専門家会議、日本政府は無視し続けてきた。
そしてやっと、4月22日に「濃厚接触者」の定義を「症状が出る2日前から」と変えたことでその認識を改めたが、以前に【症状が出てから以降が「濃厚接触」】としたことが間違いであったとは訂正していない。
「PCR検査を拡大すると医療崩壊になる」は間違い
また日本では、「PCR検査を拡大すると医療崩壊になる」とする論理がまことしやかに論じられてきたが、これは明確な誤りだ。早期検査・早期隔離しか現状では手立てがないのだから、何が何でも検査を拡充し、陽性者を早期に発見、隔離すべきだった。
未だに「PCR検査は信頼性がない」などと論じている専門家がいるが、「陰性証明」をするのではなく「陽性者」を早期発見して隔離し、感染拡大を阻止するのだということを認識すべきである。
検査しなければ感染拡大は止められない。感染拡大し続ける限り死者は増えます。感染力の高い発症前の濃厚接触者にも検査していかねば、感染拡大は止められない。
“PCR検査多い国はコロナ死亡率減 千葉大がデータ分析 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル”https://t.co/0P4e0kzvXH
— b.vinegar_137 (@b_vinegars17) April 29, 2020
PCR検査は「陰性証明」にはならない
その上で、「陰性証明」は出来ないことを国民に説くことが正当な専門家であろう。退院許可について「2回陰性が続いたら」としていることは、2回検査すれば検査確率が90%を超えるからだ。だとしたら、なおのことPCR検査を繰り返しできるようにすることが必要なのだ。
コロナウイルス感染を確認できない死亡者増加
さらに、死亡者の中に「不明な肺炎が3倍増えている」と葬儀社が述べている。
このデータが信用できるとして単純計算してみる。
東京都の人口約1400万人。
その5.9%は826,000人。そりゃ、感染経路が不明な人がわんさと出るわけだよ。
原因不明の死者が多くみられ、葬儀屋さんによると肺炎で死亡してる人も例年の3倍いると聞く。
それなのに、なぜ検査をしないで悪化を待つ? https://t.co/rjJvFVELzW
— 小池昌三 (@TAC_skoike) April 30, 2020
肺炎での死亡者は新型コロナ感染拡大以前でも、毎月1万人ほどいる。それに数百名の新型コロナウイルス原因の死亡者が加わっても、PCR検査をしていない以上発見できないであろう。いや数千名規模でも発見できない恐れがある。この1月から現在までの死因が肺炎である人数を確認するべきだ。
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