【2020新型コロナウイルスの影響(3)】経済活動再開の条件は?

新型コロナウイルス

5月6日までの緊急事態宣言を延期すると安倍首相が表明しました。しかし自粛が長引けば、経済的にも疲弊していきます。でも人間の活動が再開すれば、新型コロナウイルス感染の第2波、第3波がやってきます。それは、最低でも6割ほどの人に抗体(免疫)ができなければ感染が収束しないからです。経済と感染拡大阻止の両立をどうやっていけばよいのでしょう。



 

経済活動再開の条件

❶陰性者が経済活動を再開する

さて、この新型コロナウイルス感染拡大によって製造業が操業停止になり、再開が遅れる事態がやってくる。

これからでもよいのでPCR検査を出来るだけ多く行い、無症状や軽症の陽性者を隔離する努力をすべき。それでないと、自動車などの製造工場でも、感染者に気付かずに大きなクラスターを作ってしまうかもしれない。自動車企業の操業開始を進めるには、どうしてもPCR検査を増やして、「陽性者を隔離」して、「陰性者が経済活動」することが必要だ。

※参考記事→感染者数を増やさないためには?『PCR検査数を急速に増やすこと』~自明の理+ノーベル賞本庶佑も語る

当初、『PCR検査を少なくしてクラスター追跡で感染拡大を防げる』とした理由について、また感染者が少なくなってきた時点で「クラスター追跡」で感染者をコントロールできるとした物理的論理について、政府は国民に説明する義務が生じている。

↓↓↓PCR検査のほかに、抗体検査(通常は免疫があるかどうかを調べる)が日本でも始まっている。しかし、未知である新型コロナウイルスの場合、抗体があるからといって感染しないとはまだ言えない。

❷保健所組織の対応で可能とする説明が必要

また、その時には「保健所」の組織で「クラスター追跡が十分出来る」とする理由を技術的に説明できなければならないだろう。

それは、「クラスター追跡」が保健所職員の「聞き取り調査」で行われているからだ。この「聞き取り」の精度は「PCR検査の6~7割の精度」よりも高いのか? 保健所所員が特別に聞き取り手法の訓練を受けているとは考えられないし、いわば「素人」だろう。それに、感染者側がプライバシーの問題があって「聞き取りに応じない」ことも大いにあり得ることで、都合の悪い立ち寄り場所などは「省かれる」危険が大きい。それは人間の心理でしょう。

だから、保健所所員が聞き取りに成功していると思っている事案でも、感染者が「黙っている」ことで見逃している濃厚接触者がいる可能性が高い。

韓国のネット上に立ち寄り先を表示するシステムでも、この問題は前提としてある。一党独裁の中国のようにプライバシーを度外視したGPS追跡でなければ、信頼度は低い。

日本のような民主国家では、「クラスター追跡」は精度が低いと見なければならない。

これには、学問的な考察と、現実の組織のガバナンスの問題を考慮しなければならない問題だが、政府の行政のトップ、並びに専門家委員会のメンバーが「現実離れ」していると見込んでおくのが常識だろう。現場を知らないからだ。

それはすなわち、政府の説明には無理があることがかなり高い確率で予想できるということだ。これは深刻な問題で、「発表されるデータでは信頼度が低い」と見なければならないということにもなる。

とにかく、普段の保健所とはどんなものか知っているから(つまり改善が当たり前の組織とは違う)、保健所の体制づくりが必要である。